内的家族システム療法(Internal Family Systems, IFS)は、人の心を「ひとつのまとま
り」ではなく、さまざまなパーツ(内的な部分)が集まって成り立っていると考える
心理療法です。例えば、ある時は不安を感じる自分が前に出たり、ある時は頑張り
すぎてしまう自分が顔を出したりと、心の中には複数の声や役割が存在しています。
IFSでは、こうした内的なパーツを敵対視するのではなく、それぞれが大切な役割を担っ
ていることを理解し、受け入れていくことを目指します。
その中心には「セルフ」と呼ばれる穏やかで安心感に満ちた存在があり、セルフがリー
ダーシップを取ることで内的な調和と癒しが進んでいきます。
私はこの度、日本で初めて開催されたIFS公式トレーニングのレベル1を修了しました。
トレーニングでは、理論だけでなく、ペアワークや小グループでの実践を通して、自分
自身の内面に触れる体験を重ねていきました。頭で理解するだけでなく、実際に「自分
の中にこんなパーツがいるのか」と感じたり、そのパーツが本当は私を守ろうとしてく
れていたことに気づいたりする過程は、深い感動や気づきを伴うものでした。
時には心の痛みを伴う瞬間もありましたが、セルフの穏やかなまなざしに立ち戻る
ことで、不思議と安心感に包まれ、他者とのつながりの中でも自分らしさを保てる
感覚を得られました。
IFSの大きな魅力のひとつは、「どんなパーツも大切で、悪者はいない」という姿勢
です。これまで「消したい」「抑えたい」と思っていた感情や行動にも、その背景には
守ろうとする思いや役割があることを知ると、自分自身に対してより優しくなれます。
さらにIFSは、クライエントがセラピストに依存するのではなく、自分自身のセルフに
アクセスする力を育てるため、自己理解と自己治癒のプロセスが自然に促されていき
ます。
今回のトレーニングを通して、私は自分自身に対してより穏やかで思いやりを持てる
ようになりました。そして同時に、他者に対しても「その人の内側にも多様なパーツが
いて、それぞれ一生懸命に役割を果たしているのだ」という視点を持つことができました。
このまなざしは、臨床の場だけでなく、日常生活の人間関係にも活かされています。
IFSは、トラウマケアや自己成長のための心理療法として国際的にも注目されており、
柔軟で包括的なアプローチです。私自身も、これからさらに学びを深め、臨床や支援の
場に活かしていきたいと考えています。
IFSは、自分の中に安心できる場所を育て、心の調和を取り戻す手助けをしてくれる、
温かく力強いアプローチだと実感しました!!